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京都大学 新技術説明会

日時:2012年08月24日(金) 10:30~17:10

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 製造技術

1)耐熱性高分子多孔質フィルムの迅速作成プロセスの開発

京都大学 大学院工学研究科 化学工学専攻 助教 瀧 健太郎

新技術の概要

孔径が1ミクロン以下、空隙率が70%以上の耐熱性高分子多孔質フィルムの製造プロセスを開発した。耐熱性高分子の一例として開発した膜厚20ミクロンのフレキシブル性に富んだ多孔質ポリイミド膜について紹介する。

従来技術・競合技術との比較

従来技術が特殊な材料で数時間要していた多孔化処理を容易に入手可能な材料でわずか数分の処理時間で多孔化できる点に特徴がある。競合技術と比較して、サイクルタイムが短いため半連続化プロセスを構築可能である。

新技術の特徴

・多孔化処理時間が短い
・空隙率70%以上で折り曲げても孔がつぶれない
・連通孔・独立孔の作り分けが可能

想定される用途

・フレキシブル低誘電率膜
・電極材料
・フィルター

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(多孔質ポリイミドフィルムを展示予定)


  • 材料

2)透明・低熱膨張のフレキシブルシート材料を極めて安価に製造

京都大学 生存圏研究所 生物機能材料分野 教授 矢野 浩之

新技術の概要

植物繊維をリグニン除去後、乾燥させることなく疎水変性すると、樹脂含浸処理により植物繊維(木材パルプ)自体が透明になり、続く透明樹脂との複合化で簡単に低線熱膨張の透明複合材料を製造できる。

従来技術・競合技術との比較

セルロースナノファイバーを用いた透明材料に比べ、ナノ化の必要が無く、シート製造時の濾水性がよく、生産性に優れることから、透明でかつ低熱膨張の材料を極めて安価で製造できる。

新技術の特徴

・低熱膨張性
・透明
・フレキシビリティ

想定される用途

・有機EL照明用透明基板
・窓材料
・有機太陽電池用透明基板

関連情報

・展示品あり(講演時にフィルムを提示予定)

  • 創薬

3)プロテインキナーゼCを標的とした新規抗がん剤シーズ

京都大学 大学院農学研究科 食品生物科学専攻 教授 入江 一浩

新技術の概要

発がん促進物質であるアプリシアトキシンの骨格を有するにも関わらず、抗がん作用を示す新規化合物を開発した。本化合物は、プロテインキナーゼCを阻害するのではなく、活性化する点でも類稀な抗がん剤シーズである。

従来技術・競合技術との比較

プロテインキナーゼCを標的とした抗がん剤開発は、キナーゼ活性の阻害を基本戦略としている。本技術は、プロテインキナーゼCを活性化する新たな抗がん剤シーズを提案するものである

新技術の特徴

・プロテインキナーゼCを活性化する新しいタイプの抗がん剤シーズであること
・発がん促進物質の骨格を有するユニークな抗がん剤シーズであること
・発がん促進作用を引き起こすことなく、プロテインキナーゼCを活性化できる化合物であること

想定される用途

・抗がん剤
・プロテインキナーゼCの活性化を介した抗がん作用メカニズムを解析するツール分子
・プロテインキナーゼCが関与する他の難治性疾患(アルツハイマー病、エイズなど)の治療薬への応用

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

4)新規農薬候補のスクリーニング方法及びその遺伝子

京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 准教授 高野 義孝

新技術の概要

植物病原糸状菌の分泌過程は農薬の標的サイトとして非常に有効と推定される。病原性に関与する分泌タンパク質の分泌をモニターできる病原菌ラインを作出し、病原菌の分泌機構への阻害化合物を簡便かつ低コストでスクリーニングできる系を確立した。

従来技術・競合技術との比較

本スクリーニング系は、従来技術と比較して、省スペース化・低コスト化を実現しており、また、殺菌型化合物ではなく菌の分泌戦略をブロックする化合物をターゲットにしており、このような化合物は耐性菌出現のリスクは比較的低い。

新技術の特徴

・病原糸状菌の分泌機構を阻害できる化合物の簡便なスクリーニングシステム
・真核細胞の分泌機構を阻害できる化合物のスクリーニングシステム

想定される用途

・新しい作用機作を有する病害防除化合物の探索
・分泌機構の研究に利用できる化合物の探索

  • 材料

5)耐熱繊維強化複合材料の開発

京都大学 エネルギー理工学研究所 エネルギー機能変換研究部門 准教授 檜木 達也

新技術の概要

多孔質炭化珪素セラミックスやタングステンを炭化珪素繊維で強化することにより、構造的信頼性の観点で重要な延性を発現する材料の開発を行った。1000℃以上の高温においても優れた強度特性を有する。

従来技術・競合技術との比較

炭化珪素複合材料、炭素等の繊維/マトリックス界面が無く高温酸化雰囲気でも特性が劣化しない。タングステン複合材料は再結晶温度を超えるような温度でも繊維の引き抜けにより延性を示すことができる。

新技術の特徴

・セラミックス材料に比べて複雑形状や大型部材が作製しやすい(炭化珪素複合材料)。
・水環境下で低摩耗特性(炭化珪素複合材料)。
・広い温度域での優れた耐スパッタリング特性(タングステン複合材料)。

想定される用途

・航空・宇宙分野(炭化珪素複合材料)
・軸受(炭化珪素複合材料)
・半導体製造装置(タングステン複合材料)

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(板材等展示予定)
・外国出願特許あり

  • 創薬

6)新規マンノース6リン酸修飾脂質誘導体で修飾された糖修飾微粒子製剤によるDDS開発

京都大学 大学院薬学研究科 医療薬科学専攻 講師 川上 茂

新技術の概要

マンノース-6-リン酸修飾コレステロール誘導体に関して、その効率的合成法と本物質で修飾した糖修飾による標的指向性の脂質分散系製剤を用いた抗癌剤や核酸の送達による疾病への適用に関する技術。

従来技術・競合技術との比較

新規物質としてマンノース―6-リン酸修飾コレステロール誘導体と本物質を含有する標的指向化製剤に関する技術であり、ガラクトースやマンノースなど他の糖修飾脂質を用いた技術とは、標的細胞や適用疾患が異なる。

新技術の特徴

・リポソームへは様々な物質の封入が可能であり、封入物質による様々の展開も期待できる。

想定される用途

・マンノース-6-リン酸レセプターを高発現する肝星細胞を標的としたDDS
・マンノース-6-リン酸レセプターを高発現する癌細胞を標的としたDDS
・マンノース-6-リン酸レセプターを高発現する癌細胞へのイメージング

  • 計測

7)GPS連動型放射線自動計測システム

京都大学 原子炉実験所 粒子線基礎物性研究部門 助教 谷垣 実

新技術の概要

多数の移動体に搭載した測定器が一斉に全自動でGPSで測位をしながら放射線を連続測定する。測定データはネットワークでリアルタイムに共有され、任意の場所で可視化される。

従来技術・競合技術との比較

操作なしで多数の移動体による一斉測定が可能となったため、従来の類似技術ではできなかったバス、宅配便その他の一般的な移動体での連続測定が可能。また測定地から遠く離れた場所でもリアルタイムに線量の可視化を実現。

新技術の特徴

・ネットワークによるデータ共有

想定される用途

・専門の測定員なしでの放射線マップ作成
・放射性物質によって汚染された地域・区域の精密調査
・地域の放射線量の自動的な継続監視・放射線マップの連続作成

関連情報

・展示品あり(車載機の展示)

  • 創薬

8)緑内障および網膜色素変性症マウスモデルに対して有効性を示した新規VCP阻害剤の開発

京都大学 大学院生命科学研究科 高次生命科学専攻 教授 垣塚 彰

新技術の概要

我々が開発したVCP阻害剤には神経保護作用があり、本薬剤を経口投与したマウスでは、眼球へのNMDA注入に対し、網膜神経節細胞を細胞死から保護した。さらに、遺伝性正常圧緑内障のマウスモデル及び遺伝性網膜色素変性症のマウスモデルに対して、症状の悪化を抑制する効果を認めた。

従来技術・競合技術との比較

これまで、in vivoで神経細胞を細胞死から保護する有効な薬剤は報告がない。実際、現在行われている緑内障の治療は眼圧を下げることのみで、直接、網膜神経節細胞を保護する薬剤はない。また、網膜色素変性症を治療する薬剤もない。

新技術の特徴

・in vivoで、(神経)細胞を細胞死から保護する。
・経口投与で効果をしめす。
・変異原性、急性毒性、慢性毒性をみとめない。

想定される用途

・緑内障、網膜色素変性症などの難治性眼疾患の治療
・神経細胞死を伴うアルツハイマー病やパーキンソン病の治療

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • 製造技術

9)マイクロ波加熱を用いた大気圧下迅速チタン製錬法

京都大学 生存圏研究所 生存圏開発創成研究系 教授 篠原 真毅

新技術の概要

資源が豊富なチタンはアルミニウムに次ぐコモンメタルになり得るポテンシャルを有しているにもかかわらず、ほとんど普及していない。本発明では、マイクロ波に代表される電磁場で反応有害物質を選択的に加熱することで、律速反応を活性化させ全反応の高速化が得られる。また、本発明は溶融塩による酸化膜の分解にも適応できるため、あらゆるチタン製錬への応用が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

金属還元剤を用いたチタン製錬では、製錬の際原料表面に付着する金属酸化膜により反応が阻害される。結果として、同被膜分離のために溶融塩に浸す等の化学熱力学的に除去する手法がとられ、この分解反応がプロセス効率を律速している。本発明では、溶融塩を用いずにインゴットを得ることに成功した。この発明は溶融塩を用いた製錬だけではなく、金属元素による直接熱還元にも適応できる。

新技術の特徴

・マイクロ波を電場・磁場分離して照射することで、反応に好ましくない物質を除去できる。
・マイクロ波を電場・磁場分離して照射することで、プロセスに好ましい物質だけを加熱できる。
・溶融塩を用いずにチタンインゴットを得ることができる。

想定される用途

・金属チタン及びその低価数酸化物の合成の反応速度向上
・チタン系物質表面に在する酸化物等の膜厚制御
・同膜厚除去

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 分析

10)有機半導体などの固体のLUMO準位・電子親和力の精密測定法と測定装置

京都大学 化学研究所 複合基盤化学研究系 助教 吉田 弘幸

新技術の概要

有機半導体のLUMO準位や電子親和力を固体・薄膜状態で調べる新しい実験手法。原理的には理想的な方法とされる逆光電子分光法を基礎として、従来法のデバイス研究への応用への最大の問題点であった電子線による有機試料の損傷と低い分解能を同時に解決する画期的な測定原理を考案・実現した。

従来技術・競合技術との比較

逆光電子分光法は、デバイス動作に近い条件で固体のLUMO準位・電子親和力が測定できる理想的な方法であるが、電子線による有機試料の損傷、光検出器の分解能が低いため、デバイス研究には活用できなかった。代替法として、電気化学測定から求めた還元電位や、イオン化ポテンシャルに光吸収ギャップを足して求めた値が便宜的に使われているが、精度に問題がある。

新技術の特徴

・物質の空準位(LUMO準位)を固体・薄膜状態で測定
・電子親和力を精密決定
・有機分子・生体分子でも試料のダメージがほとんどない

想定される用途

・有機半導体のLUMO準位、電子親和力の精密測定
・有機分子・生体分子の空準位や電子親和力の測定
・固体物質の電子親和力測定

関連情報

・試作装置の見学可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

関西ティー・エル・オー株式会社(京都大学産官学連携本部内)

TEL:075-753-9150FAX:075-753-9159
Mail:tloアットマークkansai-tlo.co.jp
URL:http://www.kansai-tlo.co.jp/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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