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東京理科大学 新技術説明会

日時:2017年11月07日(火) 10:25~16:00

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、東京理科大学

後援:特許庁

発表内容詳細

  • 材料

1)簡便な製造法による中空シリカ粒子とその多様な応用

東京理科大学 理工学部 先端化学科 教授 酒井 秀樹

新技術の概要

本技術は、ベシクルをテンプレートとする中空シリカ粒子の製造方法に関係する。特定の製造工程でpHを調整することで、平均粒径100nm以下で粒径の揃った中空シリカ粒子が得られる。本方法では、中空シリカ粒子の内部に種々の物質を保持させることができ、保持と放出の制御により多様な用途に対応できる。

従来技術・競合技術との比較

既知の中空シリカ粒子はハードテンプレート法により製造されるものが殆どで、この方法ではシリカ粒子の内部に物質を保持させることが極めて難しく、『中空』シリカ粒子としての特性に基づく用途に限定されるが、本技術では『中空』『内包物担持』シリカ粒子の双方について多様なニーズへの展開ができる。

新技術の特徴

・簡便な製造プロセス
・中空シリカ粒子内部に物質を担持可能
・水系で極めて優れた分散安定性を保有(1年以上安定分散)、塗布プロセス等にも好適で環境親和性にも優位

想定される用途

・診断用のDDS材料
・担持型触媒
・反射防止膜

関連情報

・サンプルあり

  • 製造技術

2)シリコン電極薄型燃料電池 -電気化学的原子層堆積による多層触媒-

東京理科大学 理工学部 機械工学科 教授 早瀬 仁則

新技術の概要

MEMS技術を利用した小型燃料電池の開発を進めている。従来の研究では、白金の使用量が多いため、異なる金属を用いた多層触媒層を検討していた。本技術では、Au上にPdおよびPtを電気化学的に原子層堆積する。これにより、Pt使用量を極めて微量に抑え、かつ、高い一酸化炭素耐性を有する触媒が得られる。

従来技術・競合技術との比較

MEMS型燃料電池に適した多孔質金構造をベースに高性能触媒を形成するユニークな技術である。従来、金属微粒子に電気化学的原子層堆積によりコア・シェル構造を形成する研究はあるが、ベースを多孔質金とした研究はほとんどなく、多孔質金ベースとすることで、精緻な電気化学的原子層堆積が実現できている。

新技術の特徴

・白金使用量の削減(5μg/cm2程度)
・高い一酸化炭素耐性
・MEMS型燃料電池としては大出力

想定される用途

・携帯型の電源
・ドローンやロボット等の中程度の静音電源
・バイオマス由来の水素利用の促進

関連情報

・サンプルあり

  • 計測

3)先端的計測機器の開発につながる新たな光学測定方法

東京理科大学 理学部第一部 物理学科 助教 瀬戸 啓介

新技術の概要

先端的計測機器の開発につながる光学測定装置の解像度や信号雑音比等の性能を画期的に向上させる種々の方法に関する研究。白色光を用いた分光計測をする際に、光雑音を除去することで、高い信号雑音比を達成するための新たな信号検出装置及び方法。ひいては積算時間を大幅に短縮し高速測定を実現できる。またイメージングにおいてノイズによる解像度劣化の防止を達成することができる。

従来技術・競合技術との比較

本研究では、従来は困難であった白色光の強度雑音を除去する方法を実現し、高速な分光計測への道を拓く。光検出素子の時間応答の光強度依存や検出部電子回路の歪特性により強度雑音除去能が制限されていたが、新技術はそれら課題を克服し、光の量子性に起因する原理的な限界まで信号雑音比の向上が可能である。これにより、特定の化学種の濃度、分子配向・凝集構造などの化学構造の情報を含んだスペクトルのワンショット高速測定が可能になる。

新技術の特徴

・高S/N比による高速な非繰り返し現象の光学測定
・被測定試料の光の吸収の強さのみならず、ポリマーや微結晶体の異方性を検出可能
・非侵襲で生きた細胞内の組織をイメージング可能

想定される用途

・白色パルス光源を用いたS/N比の高い光学測定装置
・生きた生体・ポリマーなどの化学イメージングが可能な誘導ラマン顕微鏡
・破壊現象やクリープ現象など非繰り返し現象を観測するワンショット過渡吸収・振動スペクトル測定装置

関連情報

・サンプルあり

  • エネルギー

4)マグネシウム二次電池用新規正極材料の開発

東京理科大学 理工学部 先端化学科 教授 井手本 康

新技術の概要

次々世代としてリチウムを超える高容量二次電池の実現に向け、マグネシウム二次電池の正極部材の作製に成功した。MgはLiに比べて、理論的には正極の容量で1.5倍を実現しうるポテンシャルがあるとされ、その正極活物質として、スピネル型(初期放電実例439 mAh/g)、及び、岩塩型(初期放電実例160 mAh/g)の二種類を開発した。

従来技術・競合技術との比較

従来技術であるリチウム二次電池の正極特性は、活物質重量あたり最大で250 mAh/gであり、本技術の正極部材は、現在、それに組み合わせる電解質や負極材の開発が待たれるものの、既に将来の二次電池の正極材として十分なポテンシャルを持つ。

新技術の特徴

・高容量・高エネルギー密度
・低価格(レアメタルフリー)
・安全性向上

想定される用途

・蓄電池
・エネルギーデバイス
・常置用電源

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

5)動画像や音における不必要情報の抑圧と目的情報の移動追跡

諏訪東京理科大学 工学部 コンピュータメディア工学科 准教授 田邉 造

新技術の概要

本発表は、(1) 画像・動画や音声・音響における不必要な情報を抑圧して、目的情報を抽出する技術、および(2) 抽出された対象物や話者の移動を追跡する技術を紹介する。スキャナーやカメラにおける画像情報から、裏写り地色の除去だけでなくホッチキス・パンチ穴さらにはシワの除去技術、医療動画における臓器の動き追従技術などを、デモを交えて説明する。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、観測情報から目的情報を予測する技術を用いて、不必要な情報を抑圧して、目的情報を抽出している。本技術の特徴は、(1) 演算量が軽いため、精度を犠牲にすることなく高速処理が可能であること、(2) 抑圧処理された動画や音から対象の動きを精度よく追従可能なことである。

新技術の特徴

・不必要な情報を抑圧した後に、目的情報を抽出する技術
・動画等における対象物の追跡
・追跡情報の解析

想定される用途

・スキャナーや携帯カメラで得られる動画像情報からの雑音抑圧
・動画像の追従と解析

関連情報

・サンプルあり
・デモあり

  • デバイス・装置

6)機械学習を用いた汎用位置センサ

東京理科大学 理学部第一部 応用物理学科 講師 中嶋 宇史

新技術の概要

本技術は、設置した4つのセンサ内の位置情報を極めて簡便かつ高精度に検出するものである。例えば、応力を検出する圧電素子を板下の四隅に設置し、板を指先で押下した場合にその応力の加わっている位置情報を得ることができる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術としては、格子状や点状に多数のセンサ点を配置したセンサ素子によって位置情報を検出するが、本技術はわずか4点での検出を可能としている。さらに、4点の素子に特性バラつきがあったり、センサ部分の形状が複雑になったとしても高精度なセンシングが可能である。

新技術の特徴

・センサ素子数が少なくても、位置検出が可能であり、大面積センサを低コストで実現可能
・センサの特性バラつきがあっても、その特性差を無視した計測が可能
・センサの形状が平面板のみならず、テーブル、複雑構造のような場合であっても位置検出が可能

想定される用途

・セキュリティ用途の汎用床センサ
・タッピング動作等でリモコンのような機能を持たせたインテリジェントなテーブル
・医療用ベッド

関連情報

・サンプルあり
・デモあり

  • 機械

7)漆に固体潤滑剤を添加した低摩擦・耐摩耗性の摺動材料

東京理科大学 工学部 機械工学科 准教授 宮武 正明

新技術の概要

漆は天然の樹脂材料であり、日本では古くから食器類や甲冑等の硬質なコート材として用いられているが、耐薬品性、耐摩耗性に優れる樹脂材料として、この漆に着目し、漆に固体潤滑剤としてPTFEを添加してなる摺動材を提案する。

従来技術・競合技術との比較

漆に固体潤滑剤であるPTFEを配合して硬化させた摺動材料を製作し、ドライ条件においてリングオンプレート摩擦試験機を用いて摩擦試験を実施した。その結果、漆にPTFEを配合することにより、PTFE 100wt%と同程度の低い摩擦係数と、漆を硬化させたものと同等の高い耐摩耗性を示すことを確認した。

新技術の特徴

・原料を金属などに塗布し硬化させたり、織布、不織布(綿布など)に含浸させ、積層、硬化させて製作
・漆に固体潤滑剤であるPTFEを混合することにより、低摩擦で耐摩耗性の高い摺動材を得ることが可能
・長年、食器用のコート材として使用され実績のある漆を用いるため、摩耗粉による人体への健康影響がわずか

想定される用途

・機械の回転部や往復摺動部を支持する軸受
・食品加工機械の回転部や往復摺動部を支持する軸受
・建具や家具の回転部や往復摺動部を支持する軸受

関連情報

・サンプルあり

  • 機械

8)複雑ネットワークを用いた不安定現象の検知手法

東京理科大学 工学部 機械工学科 准教授 後藤田 浩

新技術の概要

不安定な物理現象には、ガスタービン燃焼器内の失火や燃焼振動のように突発的に発生するものがある。このような突発的に発生する不安定現象は周波数スペクトルのような線形解析では正確な検知が困難な場合もある。本技術は複雑ネットワークを取り入れた時系列解析であり、不安定現象の早期検知を可能にするものである。

従来技術・競合技術との比較

不安定現象の早期検知には、測定される時系列データの二乗平均平方根や周波数スペクトルが検知器に用いられることが多い。本技術で取り入れている複雑ネットワークは時系列を枝と頂点からなるグラフに構成したものであり、その結びつきの程度を定量化する次数を検知器に用いている。

新技術の特徴

・火力発電などの大規模燃焼器における燃焼予測等
・火災などにおける燃焼予測等

想定される用途

・ガスタービン
・ボイラー
・燃焼器

関連情報

・デモあり

  • 材料

9)IGZOバルク単結晶の育成方法

東京理科大学 理学部第一部 応用物理学科 教授 宮川 宣明

新技術の概要

高圧FZ法により IGZOバルク単結晶育成 および結晶構造の評価が可能となった。従来のミクロンオーダーサイズの単結晶に比べて大サイズであり、1:1:1:4相の結晶(InGaZnO4)の占有率の高い酸化物半導体単結晶及びその製造方法、透明導電性材料並びに透明導電性基板を提供する。

従来技術・競合技術との比較

過去の単結晶は非常に小さく、結晶精度の信頼性が低く、物性測定の種類が制限されていた。本発明はIGZO結晶構造に由来するIGZO本来の基礎物性の解明及びIGZO単結晶基板を用いた薄膜結晶育成を可能とした。これにより薄膜結晶の精度の向上、特性の安定性の向上及びIGZO結晶の新たな用途開発が期待される。

新技術の特徴

・高精度の薄膜結晶が作製可能
・熱処理(アニール)により光透過率が制御可能
・同様に電気伝導度が制御可能

想定される用途

・高速作動透明電極
・高性能ディスプレイ材料
・新規電子デバイス材料

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

東京理科大学 研究戦略・産学連携センター

TEL:03-5228-7431 FAX:03-5228-7442
Mail:uraアットマークadmin.tus.ac.jp
URL:http://www.tus.ac.jp/ura/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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