医療分野におけるプラットフォーム技術 ~AMED~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2026年02月05日(木) 09:55~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、日本医療研究開発機構
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
日本医療研究開発機構 実用化推進部 部長 山本 晋也
- 10:00~10:25
- 創薬
1)合成RNAによるPBMCからの高効率iPS細胞作製法
京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 講師 中川 誠人
新技術の概要
末梢血単核球(PBMC)に初期化因子の合成RNAを導入し、p53経路調節因子MDM4を併用することで、高効率かつ再現性の高いiPS細胞を作製する技術です。ウイルスを用いずゲノムに影響を与えないため、安全性が高く臨床応用にも適しています。
従来技術・競合技術との比較
従来はウイルスベクターを用いた方法が主流であり、ゲノム挿入のリスクや安全性確保のための追加確認が課題でした。本技術は合成RNAを用いることでそれらの懸念を解消し、非ウイルス的かつ安全な高効率iPS細胞作製を実現します。
新技術の特徴
・合成RNAとMDM4併用による高効率・高再現性なiPS細胞作製
・ウイルス不使用のためゲノム改変リスクがなく安全性が高い
・PBMCを用いるため採取が容易で患者ごとの応用が可能
想定される用途
・再生医療用iPS細胞の製造および臨床応用
・疾患モデル細胞の作製と創薬スクリーニング
・個別化医療や遺伝子治療研究への応用
- 10:30~10:55
- 創薬
2)造血幹細胞をソースとした細胞・遺伝子治療への展開
東京大学 医科学研究所 教授 山崎 聡
新技術の概要
造血幹細胞(HSC)は全ての血液細胞を生み出す幹細胞であり、ゲノム編集技術(CRISPRなど)により遺伝子を正確に修正できる。これにより先天性免疫不全などの根治的遺伝子治療や血液・免疫細胞の機能拡張が可能となり、新たな細胞製剤への展開が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
本造血幹細胞増幅技術は、動物成分やサイトカインを使わず合成ポリマーと小分子で長期自己複製を可能にした化学定義培養法であり、2018年以前のサイトカイン依存系を凌ぐ安定性と再現性を持つ。
新技術の特徴
・造血幹細胞加工
・細胞機能拡張
・先天性遺伝子疾患
想定される用途
・先天性遺伝子疾患への遺伝子治療
・がん療法
・輸血
関連情報
サンプルあり
- 11:00~11:25
- 創薬
3)ヒトiPS細胞を用いた呼吸器疾患モデル
京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 教授 後藤 慎平
新技術の概要
多能性幹細胞から呼吸器の細胞を分化誘導する技術が確立し、需要が高まっている呼吸器疾患モデルをヒト由来細胞で提供することが可能となった。上皮細胞だけでなく、間葉細胞も含めた複数系統の細胞の織り交じるオルガノイド疾患モデルが実現し、さらに細胞移植による肺ヒト化マウスの開発も進めている。
従来技術・競合技術との比較
ヒト多能性幹細胞から呼吸器細胞への分化誘導法では、上皮だけでなく肺胞間葉の分化誘導も可能となった。また、ヒト肺胞上皮をマウス肺に長期生着することも可能となり、ヒト由来細胞の強みを活かして従来の疾患モデルの限界点を克服しつつある。
新技術の特徴
・ヒト多能性幹細胞を用いたin vivo疾患モデル
・臨床検体で代用できないスループット性
・肺胞における細胞間相互作用のモデル
想定される用途
・呼吸器感染症・難治性疾患モデル
・薬効評価・毒性試験・スクリーニング利用
・呼吸器再生を目指した細胞移植
- 11:30~11:55
- 分析
4)従来比コストを1/10、スループットを20倍としたシングルセルRNA-seq法sci-TAS-seq
東京理科大学 生命医科学研究所 炎症・免疫難病制御部門 講師 七野 成之
新技術の概要
シングルセルRNA-seq (scRNA-seq)は、数万の個々の1細胞単位で遺伝子発現を網羅的に解析可能な技術で、たとえばヒトの1細胞カタログがつくられつつあるなど、生命医科学に大きな変革をもたらしています。一方、scRNA-seqの最大の課題はその高い解析コストと低いスループット(従来技術で20000細胞あたり約80~100万円)でした。新技術 sci-TAS-seqは1反応で最大100万細胞を処理可能で、20000細胞あたりのコストを約9万円と大きく削減することに成功しました。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は10000細胞 x6検体解析するのに300万円要する、その高いコストが課題でした。また、多くはpolyTプライマーを用いるため、polyAを有さないノンコーディングRNAやウイルスRNAは検出できない、また転写産物全長をカバーできないため、しばしば中央領域にある細胞機能に重要な変異を検出できないという課題がありました。本技術は固定細胞とセミランダムプライマー、BD Rhapsody microwell系の採用によりそれら課題の克服に成功しました。
新技術の特徴
・固定細胞を出発材料とすることにより、柔軟な実験デザイン、ヒト好中球など不安定な細胞の解析、ウイルス感染細胞など危険な検体の解析、を可能としています
・セミランダムプライマーの採用により、polyAを有さないノンコーディングRNAや、ウイルス由来RNAを効果的に検出可能な他、遺伝子全体をカバー可能なので5'/3'末端以外の遺伝子変異を検出可能です
・最大800万細胞を一度に解析可能な従来比最大20倍の細胞スループットにより、大規模な解析に対応可能な他、細胞あたりコストも最大1/10と費用対効果に優れます
想定される用途
・低コストなscRNA-seqを用いたスクリーニングや詳細な時系列解析
・臨床試験検体の低コストなscRNA-seq解析による層別化マーカーの探索
・低コストなscRNA-seqを用いたscRNA-seqデータベースの構築
関連情報
サンプルあり
デモあり
- 13:00~13:25
- 創薬
5)EPOを用いてCAR-T細胞を刺激するSRG技術
自治医科大学 医学部 内科学講座 血液学部門 准教授 大嶺 謙
新技術の概要
SRGシステムは、EPO受容体とIL-2受容体を組み合わせた人工分子により、体内のCAR-T細胞のみを選択的に活性化できる新技術である。EPO投与により抗原非依存的にCAR-Tの増殖を促し、より強力で持続的な抗腫瘍効果を誘導する。
従来技術・競合技術との比較
従来のCAR-Tとは異なり、SRGシステムはEPO投与によりCAR-Tの増殖や活性を任意に制御することができる。また、未承認サイトカインに依存する競合製品と異なり、広く用いられているEPOを用いることで安全性と実用性を両立し、臨床応用を加速することができる。
新技術の特徴
・選択的活性化:EPO投与により、選択的に体内のCAR-T細胞を抗原非依存性に増殖・活性化可能な制御システム
・安全性と実用性:臨床使用実績のあるEPOを利用するため、安全性・薬事対応に優れ、迅速な臨床応用が可能
・シグナル伝達の強化:IL-2受容体増殖シグナルに加え、CD40を組み込み、T細胞の持続性と抗腫瘍活性を強化
想定される用途
・CAR-T療法の改良:既存CAR-T製剤にSRGを組み込み、低用量投与でも高い治療効果を得る次世代型製剤の開発
・併用療法の新展開:EPO投与によるオンデマンド刺激を活用し、再発抑制や長期維持療法への応用
・遺伝子改変T細胞治療の基盤技術:CAR以外のがん特異的TCR-Tや制御性T細胞への応用など、幅広くT細胞療法への展開が可能
- 13:30~13:55
- 創薬
6)先天性疾患に対するin vivo遺伝子治療、ゲノム編集治療
自治医科大学 医学部 生化学講座病態生化学部門 教授 大森 司
新技術の概要
1) 小型のゲノム編集ツールAsCas12fの高活性体を樹立し(Cell、2023; 特許情報4)、in vivoゲノム編集が可能になった。特にアルブミン遺伝子座に単一AAVベクターを用いてNHEJに挿入する技術(特許情報1)を用いて、改変型プロテインC(特許情報2)や凝固第IX因子、OTCなどの遺伝子を挿入することで疾患モデルマウスの表現型が改善した。
2) 塩基編集技術を用いて肝臓の第IX因子遺伝子にC>T変異を誘導することで高活性化が誘導でき、様々な血友病Bが治療可能な技術を開発した(特許情報3)。
従来技術・競合技術との比較
1)AsCas12fは従来のSpCas9よりも1/3の大きさでウイルス・ベクターに挿入することが容易であるが、活性が極めて弱かった。我々の改変によってSpCas9と同程度の活性まで高められている。
2)塩基編集は個別の遺伝子異常を修復するには優れた技術であるが、個別に治療薬を準備することは難しい、本技術によって1つの塩基編集で様々な血友病Bに対する治療が可能になる。
新技術の特徴
・国産ゲノム編集技術
想定される用途
・遺伝性疾患治療(肝臓を標的)
・血友病B治療
- 14:00~14:25
- 創薬
7)国産ゲノム編集CRISPR-Cas3 mRNA-LNPによる安全なin vivo遺伝子治療
東京大学 医科学研究所 先進動物ゲノム研究分野 教授 真下 知士
新技術の概要
国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用い、修飾mRNA/crRNAをLNPに搭載して、肝臓へ安全かつ効率的に送達する新しいin vivo治療法です。トランスサイレチンアミロイドーシスを対象に、ヒト化マウスで安全性と長期効果を実証することで、創薬に向けた非臨床PoCを取得しました。
従来技術・競合技術との比較
CRISPR-Cas9を用いた遺伝子治療が先行していますが、オフターゲット変異や二本鎖切断による異常タンパク生成が課題でした。本技術は、Cas3の高特異性によりオフターゲットを回避し、大規模欠失で標的遺伝子を確実に除去、mRNA-LNP送達により免疫応答を抑制し安全性を高めています。
新技術の特徴
・特許FTOな国産開発技術により、国内で開発・製造・治験まで完結
・CRISPR-Cas3の特徴を活かしオフターゲット変異なしで標的遺伝子を完全除去
・mRNA-LNPデリバリーにより、安全かつ1回投与で根本的治療が可能
想定される用途
・トランスサイレチン心アミロイドーシスやリピート病などのin vivo遺伝子治療
・mRNA-LNPゲノム編集プラットフォームとしての応用
・ゲノム領域欠失を利用した新規mRNA創薬への展開
関連情報
サンプルあり
- 14:30~14:55
- 創薬
8)神経疾患の治療を目指す新規RNAレプリコンベクター
京都大学 医生物学研究所 医学研究科・生命科学研究科 教授 朝長 啓造
新技術の概要
ボルナ病ウイルス由来のRNAレプリコンベクターREVecは、核内でエピソーマルRNAとして持続複製し、miRNAを含む遺伝子を長期安定発現する。分化増殖する幹細胞でも持続発現できる。中和抗体の誘導能も低く、薬剤応答性スイッチで排除も可能である。さらに鼻腔から脳内へ非侵襲的な移行が可能である。in vivo遺伝子治療およびex vivo遺伝子細胞治療への応用が期待されている。
従来技術・競合技術との比較
既存のウイルスベクターと比べ、安全性と発現持続性そして再投与も可能である点で優れている。AAVベクターは分裂細胞では希釈されやすく、分化増殖する幹細胞などでは持続性が問題である。また抗体保有者や中和抗体の産生も課題である。レンチウイルスベクターは安定導入だがゲノム挿入に伴うがん化リスクが大きい。排除と非侵襲的脳内送達の可能性はメリットである。
新技術の特徴
・自己複製RNAレプリコン
・非侵襲的脳内移行
・持続発現
想定される用途
・遺伝子治療
・細胞治療
・ワクチン
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