神戸大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年10月30日(木) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、神戸大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- デバイス・装置
1)振動発電の高出力化によって自己発電型加速度センサを実現
神戸大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 准教授 本間 浩章
新技術の概要
加速度センサの消費電力を削減できれば小型電池での10年以上の長期間利用や環境発電機による駆動が可能となり、IoT機器に搭載しても電池交換が不要となる可能性もある。そこでMEMS技術と一体化した振動-電気変換の高出力化により、発電電圧を加速度信号として出力する自己発電型加速度センサを実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来センサは加速度を電気信号に変換するためチャージアンプや信号増幅回路を必要としこれらに電力を消費する。自己発電型加速度センサは、従来センサと同等の感度と帯域を振動発電により供給するためこれらの電力消費分を削減できる可能性があり、メンテナンスフリーの振動測定システムを提供する。
新技術の特徴
・自己発電による振動検知
・小型
・低消費電力
想定される用途
・インフラ設備の自動保守点検システム
・セキュリティ
・モーションキャプチャ
関連情報
サンプルあり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
2)枯草菌胞子表層提示技術による新規バイオマス分解製剤の開発
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 科学技術イノベーション専攻 教授 吉田 健一
新技術の概要
枯草菌胞子表層に耐熱性セルロソームを構築・提示することによって新規バイオマス分解製剤として胞子そのものを利用する新技術を開発した。耐熱性セルロソーム構成要素の分解と胞子の発芽を抑制し、酵素活性を確認することに成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来のバイオマス分解酵素は国外企業の寡占状態にあるので、国産技術の開発が待たれる。また、元来耐熱性の胞子に耐熱性酵素をセルロソームに集約して作用させることで、効率的な高温プロセスを可能とする点で優位性が期待される。
新技術の特徴
・耐熱性の枯草菌胞子をそのまま酵素製剤として利用する安価なバイオマス分解(糖化)プロセスを提供する
・複数バイオマス分解酵素を同時かつ集約的に作用させるプラットフォームを提供する
・酵素製剤を精製するプロセスが不要になる
想定される用途
・バイオマスを分解糖化してバイオプロダクションの原料とする
・セルロソーム以外のタンパク質の胞子表層提示にも応用が可能である
関連情報
サンプルあり
- 14:30~14:55
- 計測
3)RGBカメラによるファンデーション塗布状況の可視化
神戸大学 大学院海事科学研究科 海事科学専攻 研究科研究員 廣江 葵
新技術の概要
特殊なカメラや計測装置を使用せずに、RGBカメラを用いてユーザの顔のファンデーションの塗りむらを可視化する技術を開発した。カメラの前に10秒程度着席したユーザの顔の血流状態を取得することで、ファンデーション塗布の濃淡の状態を確認することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、特殊な分光フィルタを用いたり、スペクトルカメラ、超高解像度カメラを用いて、化粧品の塗布状態を可視化するようなものはあったが、我々の新技術では、特殊な装置を使用せずともファンデーションの塗布状況が確認できるものである。
新技術の特徴
・ファンデーションの塗布状況を可視化
・PC・スマートフォンの標準装備カメラでも理論上実現可能
・皮膚表面の血流状態を取得可能
想定される用途
・ファンデーションの販売促進(使いやすさ等)
・美容系資格の検定での採点補助
・日々の健康状態の確認
関連情報
デモあり
- 15:00~15:25
- 創薬
4)自発的に動物細胞を高密度に固定化できるマイクロファイバーシート
神戸大学 先端膜工学研究センター 特命教授 塩見 尚史
新技術の概要
細胞固定化における従来の課題(低効率、複雑な工程)を解決する新規マイクロファイバー(MF)を開発した。本技術は、滴下した細胞懸濁液のほぼ全ての細胞を自発的且つ高密度に固定化できるため、省スペースでの細胞培養を実現する。また、多能性幹細胞技術と組み合わせることで、短期間で多様な自家細胞由来の再生医療への応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
細胞固定化にはホロファイバーやマイクロ粒子等が検討されるが、固定化効率が低いため供給した細胞の多くは固定化されず密度も不均一であり、接着性の弱い細胞には適用できない、加えて撹拌や複雑な工程、専用装置が必要等の課題があった。しかし、新規MFはこれらの欠点を補い、より効率的で高密度な細胞固定化に加え、新たな可能性を付与する。
新技術の特徴
・簡便かつ高効率な細胞の固定化:省スペースでの細胞培養
・幅広い細胞(間葉系幹細胞などの細胞接着性の低い細胞)への適用
・複雑な3次元的組織の構築による再生医療への応用
想定される用途
・動物細胞由来の有用物質やエクソソームの連続的かつ高濃度生産
・間質系幹細胞等を固定化した治療用細胞シート
・3次元組織形成を安価で迅速に実現する培養シート
関連情報
サンプルあり
- 15:30~15:55
- 環境
5)強い還元力を持つ光増感剤でPFASを光分解する
神戸大学 大学院理学研究科 化学専攻 教授 松原 亮介
新技術の概要
高価で希少な遷移金属を使用しない触媒系を開発し、可視光により有機分子中の炭素ーフッ素結合を切断する手法を開発した。本手法を用いることで、PFASの炭素ーフッ素結合の切断も可能となり、PFASの光分解を実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来、PFASを分解するためには、特殊な焼却炉による高温燃焼分解が必要であった。光を用いる手法もあるが、主に紫外光を用いるため、水銀ランプなど入手・取り扱いが困難な光源が必要であった。今回開発した手法は、可視光でも進行するためLEDランプを利用できる。
新技術の特徴
・可視光を照射すると強い還元力を発揮する非金属光増感剤
・フロー系での運用が可能
・PFAS以外のハロゲン化化合物(フッ素化合物、塩素化合物など)にも適用可能
想定される用途
・PFASを扱う業種において自社にて分解が可能
・浄水場にて基準値を超えた水質の改善
・C-F結合の切断を利用した、新たなフッ素分子の利用や合成が可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
神戸大学 産官学連携本部
TEL:078-803-6649
Mail:oacis-sodan
office.kobe-u.ac.jp
URL:http://www.innov.kobe-u.ac.jp/
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