筑波大学 新技術説明会【対面開催】
日時:2025年09月16日(火) 13:25~15:55
会場: JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構 、筑波大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:25~13:30
開会挨拶
筑波大学 国際産学連携本部 本部審議役・特任教授 西野 由高
- 13:30~13:55
- 創薬
1)アミノ酸の高分子ナノ粒子化により実現するアミノ酸化学療法
筑波大学 数理物質系 物質工学域 助教 甲田 優太
新技術の概要
アミノ酸は多くの生理活性を有するにもかかわらず、臨床薬として承認されているものはほとんどない。アミノ酸自身の吸収性の低さに加えて、投与直後に速やかに拡散して代謝されるからである。一方、本技術ではポリエチレングリコール(PEG)にポリアミノ酸を連結したブロック共重合体がナノ粒子を形成し、内在性酵素により生分解されて時空間的な組織分布を制御するため、高い治療効果が得られる。
従来技術・競合技術との比較
従来は、アミノ酸を疎水化することで生体吸収性の低さを解決する試みがされたが、特にN-アセチルシステインなどは正常細胞にも取り込まれて、細胞内の恒常性維持に必要な電子伝達系を破壊するため、致死的な副作用が生じていた。本技術ではアミノ酸をナノ粒子化するため、致死的な副作用をほぼ完全に抑制することが可能である。
新技術の特徴
・ナノ粒子を構成するポリアミノ酸の精密設計により、生分解速度制御が可能になり、生体内での薬理活性制御が可能になる
・これまで実用化が断念され続けてきたアミノ酸による難治性疾患の治療を可能にする
・ポリアミノ酸とPEGの連結設計により、温度とイオン強度に応じて不可逆的にハイドロゲルを形成させることが可能で、シリカナノ粒子の複合化により高強度化を実現する
想定される用途
・脂肪肝炎(MASH)重症化抑制、急性肝障害重症化抑制、潰瘍性大腸炎の重症化抑制、敗血症における寿命延長効果、肺がん転移抑制、腫瘍増大抑制
・化粧品(効果向上)など
・外部環境応答性のハイドロゲル化剤(カテーテル治療など)
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
2)簡易脳波計でうつ度を計測し、うつ病の早期発見や治療に役立てる
筑波大学 システム情報系 知能機能工学域 教授 森田 昌彦
新技術の概要
数分間の閉眼安静時脳波からうつ度を推定する技術。ポータブル型の簡易脳波計も使えるので、健康診断などにおいてうつ病のスクリーニングが可能となるほか、うつ病の診断補助や治療効果の確認などにも利用できる。位相リセットという現象に着目することでこれまで捉えられなかった脳状態を可視化でき、うつ病以外にもさまざまな応用の可能性がある。
従来技術・競合技術との比較
脳波に限らず、うつ病の早期発見を可能にする客観的なバイオマーカーはこれまで存在しない。従来の質問紙による方法のほか、表情・音声等に基づく競合技術は、客観性や信頼性に難点がある。MRIや光トポグラフィーなど他のイメージング手法に比べてずっと安価かつ手軽に利用できる。
新技術の特徴
・手軽かつ安価に脳内の状態や情報処理の一部が可視化できる。
・既存手法の大部分がうつ病の結果として生じる脳活動の低下を捉えている(そのため早期発見には役立たない)のに対して、うつ状態を直接反映した脳活動を捉えている。
・幅広い応用の可能性がある。現在研究中だが、ADHD、認知症の判別、睡眠ステージ判定などにおいて有望な結果が得られている。
想定される用途
・学校や職場での健康診断やメンタルヘルスケア
・病院や診療所における診断補助
・家庭における日常的なメンタルヘルス管理
- 14:30~14:55
- 情報
3)非接触の温冷刺激による即応性と没入感に優れた空間メディア技術
筑波大学 システム情報系 教授 黒田 嘉宏
新技術の概要
寒暖や湿度など周囲の空間を再現する空間メディア技術の開発が進んでいる。本技術は、非接触型の温冷刺激に基づく温度感覚の再現技術。温冷を交互に切り替え、実質的に皮膚温度を変化させずに冷感のみを体験可能とする。感度の保持により、空間の切り替えに対する即応性が高く、少ない提示部で一体感のある没入感を再現。
従来技術・競合技術との比較
従来の温冷刺激は接触型のデバイスが主。また温冷刺激により皮膚温度が変化してしまい、長期間の安全な体験ができない。また感度が変化し、空間の切り替えに時間を要する。さらに、局所的な刺激により局所的な感覚にとどまっていた。
新技術の特徴
・即応性と没入感に優れた空間メディア技術
・非接触の温冷刺激
・長期間の安全安心な温度環境再現
想定される用途
・XR旅行
・空間ディスプレイ
・自律神経制御(睡眠導入・覚醒度制御・情動制御)
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 15:00~15:25
- 情報
4)位置と力の模倣学習によるロボットの汎用物体操作
筑波大学 システム情報系 知能機能工学域 准教授 境野 翔
新技術の概要
少量多品種の物体を操作することや柔軟物・不定形物の操作を実現することはロボットには非常に困難であった。我々は、触覚通信を実現する遠隔操作「バイラテラル制御」を用いることで、人間が物体を操作するときの力加減を内包する技能データを用いた模倣学習によりこれを再現し、人間並の物体操作を実現した。
従来技術・競合技術との比較
これまでのロボット制御技術は主に位置を制御するものであり、微妙な環境変動に適応することができなかった。深層学習を用いて環境適応能力を向上させる手法も多く報告されているが、いずれも画像認識技術を活用するものがほとんどであり、力感覚で環境を操作することができなかった。
新技術の特徴
・力加減を制御する物体操作技能を再現
・人間並の動作速度で環境変動に適応可能
・教示動作を変えるだけで1台のロボットが汎用的に動作可能
想定される用途
・食品などの柔軟物の操作
・研磨や拭き掃除のようなコンタクトリッチタスク
・組立作業のような接触力の制御が必要なタスク
関連情報
・デモあり
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
5)eスポーツ選手の"勝ち負け"を読むための疲労予測技術
筑波大学 体育系 健康体力学分野 運動生化学領域 准教授 松井 崇
新技術の概要
本技術は、eスポーツ中の精神的ストレスや手指疲労、勝敗予測をリアルタイムに可視化する新しい生体評価技術である。競技力向上や依存予防、教育・医療応用にも展開可能である。
従来技術・競合技術との比較
脳波や心拍、視線計測などを用いた既存技術は、専門的操作や装着の負担が大きく、実運用には不向きである。本技術は新しい生体評価技術から心理・身体状態を推定できるため、教育・大会・医療現場でも簡便に導入可能な実用性を有する。
新技術の特徴
・手指疲労・勝敗予測まで可能とする唯一の生体評価技術
・唾液中コルチゾルとの相関やパフォーマンス低下との関係が実証済
・脳波・心拍・アイトラッキング等の高価・装着型の計測手段が不要
想定される用途
・eスポーツ選手のストレス・疲労モニタリングと勝敗予測支援
・ゲーム依存・メンタル不調の早期検知と医療・福祉分野での支援
・業務中の休憩・作業環境の最適化支援ツール
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